「出会い」モロー  1975

 

 

散々探したあげく、ようやく坂道の中腹の目立たぬところにあるモロー美術館を見つけた。館員はあたかも私を待っててくれたかのように愛想良く迎え入れてくれた。二階に昇ると高い天井の部屋の壁面 いっぱいに作品が掛かっていてモローの世界に包み込まれた気がした。油彩にも素晴らしいものはたくさんあったが、三階奥の部屋の中央にある水彩 画を観たとき、苦労してたどり着いたことなどいっぺんに吹き飛んだ。とにかくすごいのひとことに尽きる。描き上げた直後のように色が光り輝いているのだ。水彩 画でこれほど光を失わずそれでいて重量感のあるものはかつて観たことはなかった。この美術館には1日がかりでも到底見切れない量 のデッサンも保存してある。その一部を見せてもらったがどれも感動もので、とにかく描いて描いて描きまくることの大切さを教えてもらった。